VPSとして有名な「さくらのVPS」と「ConoHa VPS」、どちらが優れているのか、どちらを選べばいいのか迷っていませんか?わたしは迷いました。
そこで、実際にさくらのVPSとConoHa VPSを使い比べて、徹底的に比較してみることにしました。
どちらのVPSを利用しようか迷っている方は参考にしてみてください。
Contents
VPSとは?共有サーバーとの違いは?
VPSは「仮想サーバー」です。物理サーバーを1台丸ごと借りると利用料金が高額になりますが、仮想サーバーは物理サーバーの中に多数の仮想サーバーを作成することで仮想サーバー1台あたりの利用料金を下げています。
共有サーバーは1台の物理サーバーあるいは仮想サーバーを複数の利用者で共有するサービスです。
VPSのメリットはサーバー1台丸ごと借りることができる点です。管理者権限も付与されるので、WEBサイトの公開だけでなく、メールサーバーにすることもゲームサーバーにすることも自由です。その代わりサーバーやアプリケーションのアップデートなどメンテナンス作業は利用者がおこなう必要があります。
共有サーバーはサーバーのメンテナンスを利用者がおこなう必要がありませんから、利用者はWEBサイトのコンテンツづくりに集中することができます。
さくらのVPSとConoHa VPSを簡単に紹介
どちらのサービスも既にご存じかも知れませんが、それぞれのサービスを簡単にご紹介します。
「さくらのVPS」はさくらインターネットが提供するVPSサービスです。さくらインターネットは老舗のレンタルサーバー会社なのでご存じの方が多いでしょう。
さくらのVPSの使用感としては堅実なVPSという感じです。
「ConoHa VPS」はGMOインターネット株式会社が提供するVPSサービスです。VPSサービスとしては後発ですが、その分利用者の声を聞き入れてさまざまなサービスを展開しています。
人気ゲームのMinecraft(マインクラフト)を自動インストールすることもできるため、ゲームサーバーを立てたいという利用者にも人気があります。
また、1時間単位での利用も可能なので、グローバルIPアドレスが割り当てられているサーバーを一時的に利用したいという場合に適しています。AWSと違って転送量よる課金はなく、純粋に稼働時間で課金される点が安心です。
さくらのVPSとConoHa VPSのプランを比較
「ConoHa VPS」は利用期間を設定しない通常料金と長期利用を前提とした割引料金の両方を記載しています。
「さくらのVPS」は「石狩」「大阪」「東京」から選ぶことができ、それぞれ値段が異なるためすべての料金を記載しています。
プラン | 比較内容 | さくらのVPS | ConoHa VPS |
---|---|---|---|
512MBプラン | 月額料金 | 1ヶ月-石狩:643円 1ヶ月-大阪:671円 1ヶ月-東京:698円 12ヶ月-石狩:590円 12ヶ月-大阪:431円 12ヶ月-東京:449円 | 通常:682円 3ヶ月:671円 6ヶ月:660円 12ヶ月:593円 24ヶ月:567円 36ヶ月:542円 |
CPU | 1コア | 1コア | |
メモリー | 512MB | 512MB | |
SSD | 25GB | 30GB | |
1Gプラン | 月額料金 | 1ヶ月-石狩:880円 1ヶ月-大阪:935円 1ヶ月-東京:990円 12ヶ月-石狩:807円 12ヶ月-大阪:600円 12ヶ月-東京:636円 | 通常:968円 3ヶ月:946円 6ヶ月:924円 12ヶ月:810円 24ヶ月:775円 36ヶ月:739円 |
CPU | 2コア | 2コア | |
メモリー | 1GB | 1GB | |
SSD | 50GB | 100GB | |
2GBプラン | 月額料金 | 1ヶ月-石狩:1,738円 1ヶ月-大阪:1,848円 1ヶ月-東京:1,958円 12ヶ月-石狩:1,593円 12ヶ月-大阪:1,186円 12ヶ月-東京:1,257円 | 通常:1,848円 3ヶ月:1,815円 6ヶ月:1,793円 12ヶ月:15,99円 24ヶ月:1,529円 36ヶ月:1,458円 |
CPU | 3コア | 3コア | |
メモリー | 2GB | 2GB | |
SSD | 100GB | 100GB | |
4GBプラン | 月額料金 | 1ヶ月-石狩:3,520円 1ヶ月-大阪:3,740円 1ヶ月-東京:3,960円 12ヶ月-石狩:3,227円 12ヶ月-大阪:2,400円 12ヶ月-東京:2,541円 | 通常:3,608円 3ヶ月:3,520円 6ヶ月:3,465円 12ヶ月:3,036円 24ヶ月:2,996円 36ヶ月:2,966円 |
CPU | 4コア | 4コア | |
メモリー | 4GB | 4GB | |
SSD | 200GB | 100GB | |
8GBプラン | 月額料金 | 1ヶ月-石狩:7,040円 1ヶ月-大阪:7,480円 1ヶ月-東京:7,920円 12ヶ月-石狩:6,453円 12ヶ月-大阪:4,800円 12ヶ月-東京:5,082円 | 通常:7,348円 3ヶ月:7,260円 6ヶ月:7,205円 12ヶ月:6,477円 24ヶ月:6,204円 36ヶ月:5,931円 |
CPU | 6コア | 6コア | |
メモリー | 8GB | 8GB | |
SSD | 400GB | 100GB | |
16GBプラン | 月額料金 | 1ヶ月-石狩:13,200円 1ヶ月-大阪:14,300円 1ヶ月-東京:15,400円 12ヶ月-石狩:12,100円 12ヶ月-大阪:9,176円 12ヶ月-東京:9,882円 | 通常:14,300円 3ヶ月:14,080円 6ヶ月:13,750円 12ヶ月:12.144円 24ヶ月:11,638円 36ヶ月:11,132円 |
CPU | 8コア | 8コア | |
メモリー | 16GB | 16GB | |
SSD | 800GB | 100GB | |
32GBプラン | 月額料金 | 1ヶ月-石狩:26,400円 1ヶ月-大阪:28,600円 1ヶ月-東京:30,800円 12ヶ月-石狩:24,200円 12ヶ月-大阪:18,352円 12ヶ月-東京:19,764円 | 通常:28,600円 3ヶ月:28,050円 6ヶ月:27,500円 12ヶ月:24,288円 24ヶ月:23,276円 36ヶ月:22,264円 |
CPU | 10コア | 12コア | |
メモリー | 32GB | 32GB | |
SSD | 1.6TB | 100GB | |
64GBプラン | 月額料金 | ー | 通常:53,900円 3ヶ月:52,800円 6ヶ月:51,700円 12ヶ月:46,522円 24ヶ月:45,540円 36ヶ月:44,528円 |
CPU | ー | 24コア | |
メモリー | ー | 64GB | |
SSD | ー | 100GB |
通常料金の場合、全体的に「ConoHa VPS」の方が高い価格設定となっています。長期契約になると「ConoHa VPS」も価格がグッと下がってきて「さくらのVPS」と同等の価格となります。
また、同じメモリーサイズでもコア数が異なるのは32GBプランです。32GBプランを選択した場合、「さくらのVPS」が10コアであるのに対して「ConoHa VPS」は12コア提供されます。
64GBプランはさくらのVPSでの提供はなく、ConoHa VPSのみの提供となります。
ConoHa VPSのメリット:時間単位での利用も可能
通常料金でConoHa VPSを利用した場合、利用時間が1カ月間に満たなければ月額ではなく1時間単位での請求になります。
そのため、ちょっとした作業をしてみたい、あるいは一時的にサーバーを立ち上げたいといった用途であればさくらのVPSではなく「ConoHa VPS」を通常料金で利用すると大幅にコストを削減できます。
プラン | 1時間あたりの料金 |
---|---|
512MB | 1.1円 |
1GB | 1.7円 |
2GB | 3.3円 |
4GB | 6.6円 |
8GB | 12.2円 |
16GB | 24.2円 |
32GB | 48.4円 |
64GB | 96.8円 |
開発者の方やLinuxの勉強をしたいという方は1時間単位での利用が向いているかも知れません。
初期費用と無料期間の比較
「さくらのVPS」は初期費用無料、2週間の無料お試し期間があります。
「ConoHa VPS」も初期費用無料ですが無料のお試し期間はありません。試しに利用したい場合は通常料金で利用を開始し、不要になったらサーバーを停止・削除すればいいでしょう。
さくらのVPSとConoHa VPSの使えるOSの違い
さくらのVPSとConoHa VPSでは思想がまったく異なります。
さくらのVPSはぜんぶ自分で対応できる方向け
さくらのVPSにはワンクリックでWEBサーバー、POP3サーバー、DNSサーバー、DBサーバーなどを構築できる「標準OS」と、さくらのVPSが用意したISOからクリーンインストールできる「カスタムOS」が用意されています。
また、ユーザーがISOファイルをアップロードしてさくらのVPSが用意していないOSをインストールすることも可能です。

ConoHa VPSは目的別にOSを構築できる
ConoHa VPSは標準でインストール可能なOSがとにかく多く、一般的に入手可能なOSはほぼすべてそろっている感じです。FreeBSDやOpenBSD、NetBSDも最初から用意されている点もユニークです。
また、さくらのVPSと同じようにユーザーがISOファイルをアップロードしてConoHa VPSが用意していないOSをインストールすることも可能です。
もっとも注目するべき点はアプリケーションをOSと同時にインストールできる点です。特にMinecraft(マインクラフト)のゲームサーバーを立てたい方にはおすすめです。ボタンをクリックするだけでMinecraftをインストールできるので、試しにゲームサーバーを立ててみたいとう要望も簡単に叶います。
インストール環境はConoHa VPSがおすすめ
まとめると、さくらのVPSは基本的にすべて自分で対応する必要があり、技術力が求められます。それとは反対に、ConoHa VPSを使えばテンプレート機能により面倒なミドルウェアやアプリケーションのインストールをおこなう手間を省くことができます。また、ユーザーがISOをアップロードして好きなOSをインストールすることもできます。
構築の手軽さや自由度という点ではConoHa VPSが勝っていると言えるでしょう。
ConoHa VPSは簡単にMinecraft(マインクラフト)をインストール機能もあるので、ゲームサーバーを立てたいという方にはConoHa VPSがおすすめです。
さくらのVPSとConoHa VPSの性能の違い
ここからは、実際に利用してみて具体的な性能の差を比較したいと思います。
注意点として、VPSは他のユーザーとハードウェアリソースや回線を共有しているので、実行タイミングによってここで掲載している結果とは異なる可能性があります。
ここから先のテストは同日同時刻、まったく同じタイミングで実行しています。
CPUのスペックとディスクI/Oを比較してみる
項目 | さくらのVPS | ConoHa VPS | |
---|---|---|---|
CPU | モデル | Intel Core Processor (Broadwell) | Intel(R) Xeon(R) CPU ES-2670 v3 @ 2.30GHz |
クロック | 2199.998 MHz | 2294.684 MHz | |
BogoMips | 4399.99 | 4589.36 | |
L2キャッシュ | 4 MiB | 4 MiB | |
Disk | 読み込み速度 | 151.75 MB/秒 | 352.30 MB/秒 |
書き込み速度 | 210 MB/秒 | 626 MB/秒 |
CPUを見ると「ConoHa VPS」はXeonを採用しているため高負荷時に強いというメリットがあります。特にゲームサーバーを立てる場合は有効でしょう。
ディスクI/OについてはConoHa VPSが圧倒的に高速であることがわかります。ディスクへの読み書きが多いアプリケーションを利用する場合はConoHa VPSが有利です。この点もゲームサーバーを立てたい方にはメリットとして感じられるでしょう。
さくらのVPSとConoHa VPSのラウンドトリップ時間の違い
ラウンドトリップ時間の違いを計測するために、サーバーから1.1.1.1と8.8.8.8へそれぞれPINGを実行して最小・最大・平均のラウンドトリップ時間を計測しました。ブレをなくすため100回PINGを実行した結果を採用しています。
※「1.1.1.1」はCloudflareが提供するDNSサーバー、「8.8.8.8」はGoogleが提供するDNSサーバーです
宛先 | さくらのVPS | ConoHa VPS |
---|---|---|
1.1.1.1 | 最小:1.106秒 最大:3.498秒 平均:1.218秒 | 最小:0.663秒 最大:1.597秒 平均:0.835秒 |
8.8.8.8 | 最小:0.930秒 最大:3.554秒 平均:1.039秒 | 最小:1.174秒 最大:1.946秒 平均:1.331秒 |
この結果を見ると、さくらのVPSはConoHa VPSに比べるとラウンドトリップ時間のブレが大きくなっています。ネットワークの観点では安定しているのはConoHa VPSでしょう。この点もやはり、ゲームサーバーを立てる場合に重要となります。
サポート体制の違い
サポート体制はさくらのVPSが優れています。メールはどちらも24時間365日対応していますが、チャットサポートはさくらのVPSが24時間365日対応しているのに対してConoHa VPSは平日日中帯に限られます。
電話サポートはさくらのVPSは休止中ですがConoHa VPSは平日日中帯に対応しています。ただし、さくらのVPSはコールバック予約がオンラインでできるので、さくらのVPSで電話サポートが必要な方はコールバック予約で対応できます。
サポート方法 | さくらのVPS | ConoHa VPS |
---|---|---|
メール | 24時間365日 | 24時間365日 |
チャット | 24時間365日 | 平日10:00~18:00 |
電話 | 休止中 | 平日10:00~18:00 |
コールバック予約 | 24時間365日 | 未対応 |
まとめ
総合的に見ると「ConoHa VPS「がサーバースペックや機能などあらゆる面で優勢に見えます。
わたしは「さくらのVPS「をメインに利用しているのですが、今回あらためてふたつのVPSサービスを比較してみてここまで差があるのかと驚きました。
CPU速度とディスクI/O、どちらもConoHa VPSが有利であり、ネットワークもConoHa VPSの方が安定しているように見えます。Minecraft(マインクラフト)などゲームサーバーを立ててみたいという方にはConoHa VPSをおすすめします。
使いやすさの面でも、面倒なサーバー構築を任せることができるConoHa VPSがおすすめです。
特に一時的なテストサーバーを構築する場合は1時間単位で費用を請求されるConoHa VPSが圧倒的に有利でしょう。
一方「さくらのVPS「のメリットはさくらインターネットが培ったノウハウと会社のブランド力でしょう。さくらインターネットが提供する「さくらのクラウド」は日本政府の求めるセキュリティ要求を満たすクラウドサービスとして、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」(通称:ISMAP(イスマップ))のクラウドサービスリストに登録されています。ですから安心感と安定性を求めるのであれば「さくらのVPS」という選択がおすすめできます。